FireWire 800経由でもSSDはかなり速い iMacを高速化・スピードアップ
少し古めのiMacを使っていると、CPUはまだまだ速いのにゴリゴリとハードディスクが足を引っ張っているなぁと心底感じてしまいます。もったいない話です。そこでFireWire800に外部SSDを付けてそこからブートしてみようと思い、外付用のケースとSSDを購入。iMacの裏側についている四角い端子です。(現行iMacはThunderboltという超高速な規格に置き換わっています。)単にSSDに換装したいのはやまやまなんですが、次のような数多くの問題が。
- 筐体が開けにくい。
- 筐体を開けて自分で換装できるとしても、iMacの画面にホコリが入るのがイヤ。
- かと言ってやろうと思えばできることを業者にお願いするのもなんだか。
- そもそもAppleCare 延長保証がまだ効いている。
と、中途半端な古さが問題になってくるんです。FireWire 800からMountain Lionをブートしてみた結論から言うと、
内蔵ハードディスクからの起動時間 | 1:48 |
外付 FireWire 800 SSDからの起動時間 | 0:37 |
と、かなりの速度向上でSSDの恩恵を受けられることがわかりました。ひどく重いAdobe系の起動も、例えばPhotoshopなら2〜3秒(FireWire 800 SSDをスクラッチディスクとしています)。Illustratorでは、ファイル容量1.5GB・30ページ程度のアートボード・1ページ毎に3つの写真程度(埋め込み済)のページモノを、起動していない状態からファイルをダブルクリックで開くと約12秒で開けました。かなり作業効率がアップします。
実際、FireWire800は最高80〜90MB/s 程度でSSDが速くてもボトルネックになります。Disk Speed Testで測ったスピードは、内蔵HDDが110MB/sで、FireWireは82MB/s。FireWireの方が明らかに遅いです。なぜ FireWire の方が体感で強烈に速いのか、理由を今回購入したケースの販売元OWCの方に聞いてみたところ「最高速度80キロの車と110キロの車のレースでは、110キロ出せる方が有利と思いきや、80キロの方が0.1秒で80キロに達するなら、そちらが勝つでしょ?」と言われました。ランダムアクセスが得意なSSDはFireWireがボトルネックだとしても内蔵HDDよりかなり高速です。
起動できない(ブート対応していない)ケースが多い
今回はOWCのアメリカ本国サイトから買いました。購入したのは、
- 外付けケース … OWC Mercury On-The-Go Pro・FireWire 800/400+USB 2.0
(Firewire800側の中身が0GBと表示されている商品) - 専用電源アダプタ … OWC Mercury On-The-Go Power Adapter
- SSD … Crucial M4 256GB
外付けFireWire接続ケースはいくつか出まわっていますが、ブートできないものも多く、例えばUSB経由ならできるという商品もあるので注意が必要でした。OWCは確実にできると掲載しているのでこれを選択。老舗Macallyのケースは非常に安価で、しかも起動できるとチラホラ見たのですが、オフィシャルサイトには特別な記載が無いのでOWCにしました。
Amazon.co.jpでの販売価格が15,900円に対し、(追記:ECクレセントがamazonにおいて良心的な価格で販売開始しました。ケースのみ2013年2月現在 7,980円)本家サイトでは64ドル99セント。日本への送付も可能で送料がUSポスタル使用時20ドル87セント。円高ですし、本家のサイトから購入した方が相当お得でした。(2012年7月現在の価格です)同梱品は、革っぽいキャリングケース・FW800接続ケーブル・USBケーブル。1年保証。また OWC Mercury On-The-Go Proは、FireWireから電源が供給されるため通常アダプタは必要ないのですが、ブート用途のため電源が不安定になるのはイヤなので一応保険として買いました。ちなみにアダプタ付けずとも、ちゃんと起動します。
SSDは、OWCサイトで自社のSSDビルトインタイプを選べますが、価格重視でCrucialにしました。基本的にお金をかけず、ごく普通に便利。うまくてやすいのがモットーなのです。
組み立て方も非常に簡単で、必要なのはドライバーだけでした。静電気を発生させないことと、ネジを締めるときに基盤に傷つけないように注意するだけ。
もし、アメリカのサイトで購入するのが不安ならこんなものも。
- 秋葉館で取り扱っている Mercury Elite Pro Mini FW800 eSATA
起動ディスクを外付け SSD に変更、内容を移し替えるのは非常に簡単です。手順的には、
- Time Machineへ現状を一応バックアップ
- Mountain Lionの起動ディスクを作っておき、USBが出来上がったらインストーラーを開き、
(optionキーを押しながら電源を入れ復旧パーティションから起動するか、Carbon Copy Cloner というアプリで丸ごとコピーでもいいですが、起動用USBメモリを作っておくと安心です) - 外付SSDにOSをインストール
- インストールが終わって再起動されたら、アプリケーションフォルダ内のユーティリティフォルダ内「移行アシスタント」で、「Mac、PC、Time Machineバックアップ、またはほかのディスクから」を選び、これまでのシステムディスクすなわち内蔵HDDのファイルを外付けSSDへ移行(この時移行するフォルダを選べます。SSDは容量が少ないのでミュージック・ピクチャ・ムービーは移行せずそのまま内蔵HDDに温存しました。)
- アップルマーク>システム環境設定で起動ディスクをSSDに変更。
- Mountain Lionだからなのか、前からそうだったのか、移行後 iTunesとiPhotoのライブラリ場所変更をせずとも、元の内蔵ディスク内のデータをちゃんと指していました。通常はオプションキーを押しながらアプリを起動することで、読み込むライブラリを選べます。ただ、システムディスクを変える事で注意が必要なのが、iTunes Storeで買ったDRMのかかっている曲や映画が別のコンピュータで再生していると認識されることです。再生時に再度許可する必要があります。すでに5台以上のPCので許可している場合は、一旦再生許可をリセットしてあげなくてはなりません。このリセットは年に1度だけ可能なので、既にリセットしてしまっているなら次回まで待つことになります。
内部SATAに直に繋いだ場合よりもはるかに遅いものの、手をわずらわさず・あまりお金もかけず高速化できました。MacはすべてApple社製であり、OSバージョンが対応している機種用の全ドライバが含まれていますので、副産物として、このSSDをポータブルにし知り合いや友人のMacに接続すれば自分のMacとして動かすことができます。本体が壊れた時もしかり。また来年Macの保証が切れたら購入したSSDは内蔵できるので無駄になりませんし、ケースもUSBで使えるため、用途はたくさんあります。素晴らしい買い物をしました。余裕があればUnibodyのMac miniでもやってみようと思います。
追記
OWC Mercury On-The-Go ProのUSBの仕様が2.0から3.0へとアップグレードし、価格も$79.99へと上がったようです。それでも送料込みで7,635円程度(1ドル78円計算)なので、かなりお得感があります。